『偽り』 ファフナー10話 冒頭にて (総士サイド)
次第に忘れ去られていく過去。
塗り替えられていく記憶。
けれど、変える事の出来ない現実に
君は何を願う?
最後に君と
心の底から笑い合えたのはいつだっただろう……
今ではもう、
遠い遠い記憶の彼方―――――
「羽佐間と甲洋のことは忘れろ」
「お前、本気で言ってるのか?!!」
ずっとずっと偽り続ける事に慣れていた心は
意外にもあっさりと言葉を口に出来た。
いつか、
人は変わらなければならない時が廻ってくる。
いつまでも昔のままではいられない。
いや、いてはいけないんだ。
変わりたくないと言う甘い感情なんて
とうの昔に捨ててきた。
今の僕には
必要のないものだから。
過去に囚われ続けていれば
いつかは自分をも見失ってしまう。
「あなたは そこにいますか」
今の君は何処にいる?
過去に負い目を感じたまま
現実から目を反らし
自分の立つ場所さえ判らずに
ただ
綺麗事という言葉を並べて
彷徨っているだけ。
でも
そんな君を縛り続けているのは
他ならぬ僕自身なのも判っている。
だけど、
そうしないと…
僕の心の方が先に壊れてしまいそうだったから。
僕はまだ
自分を見失うわけにはいかない。
守らなければならない
大切なものがあるから。
それを守る為に
例え
今の君を傷付ける結果になったとしても
僕は
今の自分を保ち続ける。
全てを守り通すために。
遠い遠い記憶の彼方…
水平線の向こうにある
楽園だったこの島の平和と。
本当に守り通したかった……
大切な
君の笑顔を残していきたい、と言う想いを
胸の奥深くにしまい込み
僕はまた
大切な何かを失っていくのだろうか……。
やっとこ総士サイドUP。
何だか、総士の心の方が掴みにくいです……
色んなものを背負いすぎて。
総士には、幸せになって欲しいですよ。本当に。
2004.10.2
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