白昼夢


『白昼夢』





分からない。
ただ漠然と心が苦しくなって。
何かに強く魅かれるように……感じたまま無我夢中で街中を駆け出した。

何だろう、この気持ち。

知らない。
分からない。

でも、行かなきゃいけない気がして。

「―――――!」

走り出した先に見えた、知らない人影。
楽しそうに、2人寄り添いながら街中を歩くその影に、無意識の内に手が伸びた。

「えっ、何?!」

綺麗な長い亜麻色の髪が翻る。
風に煽られ、甘い香りが鼻孔を擽る。
突然背後から腕を掴まれ、その亜麻色の髪の主は当然の様に声を上げた。

知っている。知っている。知っている。

そんな気がするのに。
やっと見つけたと思ったのに。
この虚無感はどこから湧いてくるのだろう。

「総士、知ってる人?」

先に言葉を紡いで来たのは、隣に居た黒髪の短髪の少年だった。

………『総士』って言う名なんだ…。

「……いや…」
亜麻色の髪の、『総士』と言う名の少年は
未だ掴まれたままの腕を気にしながら
僅かに脅えたような眸で短く否定の言葉を口にした。

「あ…すみません…」

脅えた眸が見たかったわけじゃなかった。
ただ、自分でも分からないうちに何かを求めていて…
見つめた先に映りこんだキミを
無意識の内に掴んでしまっていた。
慌てて腕を放すと、『総士』と言う名の少年はホッとひと息をつく。
安堵を覚えたのだろう。
瞳も、穏やかな色に戻っている。
「誰ですか、あなた」
隣にいた少年が、まるで守るように一歩前へと踏み出し
キッと強い眼差しで見据えてきた。
無理も無い。
あまりにも突然だったのだから、当然と言えば当然の反応だろう。
「ちょ、一騎っ」
後ろに追いやられた『総士』と言う名の少年が、必死に声をかけているのにも耳を傾けず
ほんのり赤みがかった瞳は、真っ直ぐ、どこまでも真っ直ぐで
圧倒的な威圧感さえも感じられた。
「失礼。あまりにも知っている人に見えたもので、つい…」

本当は違う。
魅かれたから……ここにいた。
彼に。
『総士』と言う名の少年に。

やっと見つけた、気がしたから。





でも。





触れてはいけなかったのかもしれない。
見つけてはいけなかったのかもしれない。

「本当にすみませんでした」

軽く会釈をし、その場を立ち去る。






残ったのは、更に抉られていく 酷く醜い心の虚像だけ―――――…










END






何ですか……コレ。
ただ、思い立ったものを打ち込んだだけのモノなんですが…
一体 何がしたかったんだろう。(おい)
一応、一総前提のイド → 総士…だと思います。(一応って何)
ここからイドのストーカーが始ま……りませんよ?(笑)
続きとか何も考えてないけど、気が向いたら書くかも…しれない。


2005・05・02