愛故に


『愛故に。』




「んっ……ヤ…もぅ、嫌だ……っ」
ただ、この状況から逃れたくて、レイは必死に首を横に振った。
口端からは、飲み干しきれなかったであろう白い液体が、顎を伝い床の上へと零れ落ちていく。
「ダメだよ、レイ。こんなに零しては…。ちゃんと飲まないとせっかくの赤服が汚れるぞ。」
そう言って、ギルバートは顎を伝い落ちていく液体を指ですくい上げ、再びレイの口の中に押し入れる。
半ば強引な程に進入してくるそれに、思わず眉を顰めじわじわと瞼が熱くなっていくのをレイは身を持って感じ取り、 それでも逆らう事は許されないのだと、自身にそう言い聞かせながら受け入れるしかなかった。
「んぅっ!……ふ…っぁ……も、これ以上は…無……理です……っ」
そう悲願を訴えかけるアイスブルーの瞳は、既に沢山の水分を含み今にも溢れ出しそうで……。
「ダメだ。今日こそは全部飲んでもらうと、約束したはずだが?」
「―――――っ!」
あまりにも愕然とする言葉に、瞬間的に言葉を失う。
咄嗟に逃げ腰になるレイを引き寄せ、ギルバートは無理矢理にでも飲ませようと 再び口内へとそれを押し入れた。
次第に荒くなる吐息。
飲みたくもないモノを強引に飲ませられ、レイは既に限界だった。
「…んんっ…く、んぁっ……」
そして、ようやく全てを飲みきった所でレイは大きくむせ返る。
その拍子に、ついに瞳に溜まっていた水滴が頬を伝い、大粒の涙となって服に染みを作っていく。
「はっ、……はぁ…はぁ……」
「何だ、やれば出来るじゃないか。全部……飲みきったな。」
ずるずると崩れ落ちていくレイを支えながら、ギルバートはさも満足そうに微笑む。
暫くは荒い呼吸を繰り返していたレイだったが、次第に呼吸が整い始めるとキッっとギルバートの方へ視線を向け 自分の立場など忘てついに怒りを露わにしてしまう。
「……あなた、が……こんなに強引な人だとは…思いませんでした!」
ほんの少し零れ落ちていた白い液体を手の甲で拭いながら、レイは涙目ながらもキツメの言葉を向ける。
けれど、当然それにギルバートが怯むわけでもなく。
「強引も何も…約束だったはずだろう。今日こそは必ず飲ませると。」
「そんなのっ……!第一、あんなモノは人が飲むモノじゃない!!」


そう言ってレイが指差す先には………………



散々レイが暴れまわった所為か、少し泡立ちながらも空になった牛乳瓶がひとつ。
どうやら、レイ様は相当な牛乳嫌いなようです。










END






何なんだ、お前等。
イチャこくなら 他所でやってくれ……。
何だか、あまりにも古い作品すぎて………もの凄くUPしようか迷いました。
でも、今の所 唯一のギルレイなんで。 (ぇ)
と、とりあえず………ごふっ。


20004・10・18


2004・1・3  再UP