昼間の人騒動があってから およそ数時間。 ちらりと時計に目をやれば、針は丁度0時を指し示す瞬間だった。 剣司が巻き起こしたあの騒ぎもようやく納まり、総士は皆が寝ている寝室の隣の部屋で今日の訓練結果を纏めていた。 「まったく…。 剣司の所為で随分と時間がかかっちゃったな……」 ほんの少し多めの書類を机の上でトンっと揃えると、僅かばかりの溜め息を口から零す。 そっと唇に指を当て、日中の事を思い起こせば 再び蘇ってくる昼間の微熱。 今まで一騎以外に触れられた事のなかったその唇は、新たに与えられたその熱から未だに開放されていない様でもあった。 「……僕…、何やってるんだろう」 言いようの無い震えが身体全体を駆け巡り、背筋を凍らせる。 あの人騒動を巻き起こし、それでも平然としている剣司に 明らかに怒りを露わにしていた一騎。 いつもは穏やかなその貌が みるみる内に変貌し、恐怖すら覚えた…一騎のもう一つの顔。 火照り出していた身体が、一瞬にして熱を冷ます。 総士にとって、あの一騎の豹変した表情は恐怖すら覚える程その身に震えを沸き起こすものであったのだ。 「今日はもう寝よう。」 ポツ、っと小さく言葉を漏らし、手にしていた書類を机の上に置くと総士はゆっくりと立ち上がろうとする。 しかし、それより僅か早く総士のいる部屋の襖が開けられ、外から入り込んできた外気温が頬を掠めていった。 「……?」 襖が開けられたのだから、そこに誰かがいるのは至極当然の事。 こんな真夜中に誰だろう……と思いながら そっと後方へ視線を流し込めば、 そこには寝ているとばかり思っていた一騎が、明らかに不機嫌そうな表情を浮かべながら総士へと詰め寄ってきたのだ。 「か、一騎?! こんな時間にどうし……」 しかし、総士の言葉は最後まで発せられる事は無かった。 一瞬にして暗転した目の前の景色。 ドサッという重い音と、背中に走る鈍い痛み……そして、あっという間に自由の利かなくなった己の身体。 今まで幾度と無く重ねてきた経験で、瞬時に総士は自分の置かれた立場を理解する。 「ちょっ!離し…っ!」 「―――総士は、俺以外の奴とキスしても平然としていられるんだ?」 抗議の声も虚しく、一騎の発せられた重い低音にそれは掻き消されていく。 ゆっくりと視線を合わせれば、凍てつくような真紅の瞳が総士を見下ろしていた。 「……かず…っ…」 背筋におぞましい程の悪寒が走り去り、逸らす事の許されないその視線が総士の脳内を犯し始める。 じっくりと、確実に侵食されていく全ての神経。 既に脳内では拒絶する事が無意味だと警告音を発していた。 無駄に抵抗をすれば、それは相手に更なる興奮を与え、駆り立てるだけ。 それは総士が身を持って学んだ事。 「俺は、絶対に許さない。 総士が俺以外の奴のモノになるなんて……」 その言葉と共に、真っ赤に染まりあがる視界と息苦しいまでの愛憎が総士を包み込んでゆく。 「…んんっ……ぁ…んぅっ…ん…っ!」 突然 深く重ね合わせられた唇に、息の仕方も忘れ翻弄され乱される。 必死に突っ撥ねようと一騎の胸を押し返しても、力の差と、更に重力が加わってそれも敵わない。 それどころか、そんな総士を嘲笑うかの様に一騎は力強く掻き抱いていった。 「…はっ、ンッ……っ……んんっ…」 たったキスひとつで、ここまで乱れる人はあまりいないだろう。 半ば蕩けかけた意識で一騎の激しく乱暴なまでの口付けをその身で受け、 ただ只管に与え続けられている強制的な快楽を貪り続ける。 そんな総士の姿を一騎は目の端で捉えると、ほんの僅かに口角を吊り上げ 器用に総士の服の中へと掌を滑らせていった。 「んぁっ…アッ……んんぅ…っ…ん…ぁ!」 意図的に狙ってきた一騎の掌が胸の華を強く刺激し、塞がれたままの唇からくぐもった声が漏れる。 あまりにも敏感すぎるこの身体は、ほんの僅かに与えた刺激だけで急激に熱を齎し、 本人の意思とは無関係な程に性急になっていくのを一騎は知っていた。 「相変わらず、感じやすい身体な事で。」 そっと唇を開放し、不敵な笑みを浮かべながらその華をきつく引っ掻き回せば、 あっけなく甘く高い嬌声が静かな部屋中に響き渡っていく。 「やっ…あぁっ……あぅっ…ンッ、んんっ……!」 予想はしていたものの、あまりにも大きかったその声に、一騎は咄嗟的に再び唇を塞ぎにかかった。 喰らいつくように深く、己の熱くなった舌先を捻じ込み、喉の奥の方まで舌先を擦り付ける。 当然の如くその間の胸への愛撫は忘れる事なく、嬲るようにして弄くりまわせば必死に耐えるように 総士は一騎の服をきつく握り締めてきた。 「……んっ、ん…ぐ……っ…んぅっ……!」 唯一の熱の吐き出し口を塞がれ、尚且つ激しいまでの愛撫は止まる事なくその身体を弄び、 ついに耐え切れず総士はうっすらと目尻に涙を浮かべ始める。 苦しくて、どうして一騎がこんな行動に出てきたのか必死に理解しようとしても、 それは狂わされた嫉妬という凶器にしか辿り着かなかった。 「……かず……きっ……」 「総士。 このまま めちゃくちゃに抱いてやろうか?」 突き刺さるような冷たい視線。 抉るように圧し掛かる重い低音。 醜いまでの感情が一騎の全てを支配し、その何もかもが総士へと宛てられる。 それがどんなに汚い事だと分かっていても。 どれほど傷付ける事だと知っていても。 それでも。 「もう一度、お前が誰のものか……その身体で分からせてやるよ。」 瞬間、総士の頬に一筋の涙が流れ落ちていくのを、一騎は瞳を閉じて見ないフリをした。 To Be Continue ご、ごめんなさい…… (ぷるぷる) 中途半端に終わってなくてゴメンなさい!(あわわ;) 続きはまた近い内にUPしたいと思っています! 今度こそ16禁くらいまでは犯りたい……とは思っていますので。 2005・1・2 |